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「葵くん、純くん。次の現場までスタッフが送るから、少し車の中で待っててもらえる?」
「はーい♪」
「お願いします」
ロケ自体は終了し、スタッフが機材を片付けている中、現場リーダーから声をかけられ葵と純は素直に返事をした。
本来ならば、マネージャーに来てもらうところだがお世辞にも葵達の事務所は大手とは言えずスタッフの人数もまだ少ない。
五人グループに対して、マネージャーが一人しかいないので毎回送り迎えに来られるわけではなく、たまにこうして馴染みの現場スタッフの好意に甘えさせてもらっている。
二人が指定された車へと向かっていると、それに気づいた女性スタッフ達が小声で話だした。
「相変わらず、いい感じだよね、あの二人」
「うん。葵くんは礼儀正しいし、純くんも元気で現場を明るくしてくれるし」
基本、スタッフが現場でタレントの噂話をすることはないが、本人達に聞こえていないと思っているからか、少しミーハー的な会話がされている。
「はは……しっかり聞こえちゃってるんだけどね」
苦笑いを浮かべながら純が小さく葵にそう呟いた時だった。
彼女達の次の言葉で、葵の表情が凍り付く。
「でも、今日の葵くん、なんか可愛かった!」
「そう、いつものしっかりしてる雰囲気と違ってよかったよね」
その言葉も聞こえていない振りをして、純は慌てて葵を車の中へと押し込んだ。
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