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「……俺、二十代ももうすぐ折り返しの二十四だぞ。可愛いって年頃じゃないだろ」
落ち込んだようにポツリとそう呟いた葵の言葉に、純は少し困ったように答える。
「う~ん……葵ちゃん、可愛いでしょ。メンバー一のパッチリお目め」
「……可愛くねぇ」
純から遠慮気味だがはっきりと言われ、葵はふて腐れたように言い返した。
身長は一七二でそれなりに筋肉もつき鍛えられた身体の葵だが、二重で大きな瞳にぷっくりとした唇は童顔なせいもあり、年齢の割には可愛らしい。
明るすぎない茶色の髮もふんわりとセットされ、彼の小顔を際立たせている。
実際、七年前に大手事務所からアイドルとしてデビューした葵は、当時身長が一六〇に満たなくて髮も背中まで長かったために、以前の事務所のマネージャーが女の子と間違えてスカウトしたことが芸能界入りのきっかけだった。
それをトラウマとしている葵は髮も首の辺りまで短くきりカッコイイを目指しているが、身長が伸びた今でも可愛いと言われることは少なくない。
遅い成長期のおかげでなんとか今の身長まで伸びたが、デビュー当時の体型のままだったら、きっと今でも葵は女の子に間違われていただろう。
それでも、メンバー全員が二重なのに自分だけが可愛いと言われるのは納得いかないようで、葵はむきになって言い返す。
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