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「シアノ、お前が言っているのは税管理の事だろう?それならもうレイシアとオスカに頼んでおいた。その他の仕事も他の者に振り当てたぞ」
「……はぁああああ!?何してんだジジイ!!」
「殿下、落ち着いて下さい!!また口調が…!!」
アランのストップが再びかかるが、今回は俺も
止まらなかった。
「いつもそうだよな!そうやって俺のいない所で話を勝手に進めてさ、俺が後から知ってどんだけ大変か分かってんのか!?」
「だってお前断るじゃないか」
「それは俺がクルシウスの分の仕事をこなしてるからだっつーの!あの馬鹿兄貴がちゃんとやりゃあ俺はすんなり引き受けてるよ!!そんな事も知らねぇのかクソジジイ!!」
「知っているに決まっとろーが。私がそんな無能だとでも言うのか、この馬鹿息子」
「それなら一言くらい先に言えるだろうが!!…んな事もできねぇじゃん!だから嫌いなんだよ、そういう所が!!」
一通り息を切らしながら言い終わった後、ヴァルゼン様が困ったような顔で遠慮した声で言う。
「……ほ、ほら。喧嘩はお終い。シアノ君、別に強制している訳じゃないから引き受けなくてもいいんだよ?あくまで依頼だからさ。だから、取り敢えず落ち着こうか。ジャルシェも、ね?」
「………申し訳ございません。仕事を引き受けたくない訳ではないのです。むしろ、引き受けたいと考えております。ただ、父の勝手なやり方が気に食わないのです。本当に父がこんなので申し訳ございません」
「さらりと私の悪口を言うな、ちびっ子」
「ジャルシェ、ちょっと黙っててね。それでシアノ君。引き受けてくれるかい?」
父が勝手に俺の仕事とクルシウスの馬鹿兄貴の仕事をレイシアたちに振り当てた事で、俺には王宮内でやる事がない。退屈は嫌いだし。俺はヴァルゼン様に告げた。
「お引き受けします。よろしくお願い致します、ヴァルゼン様」
「よかった…。ありがとう、シアノ君」
「いえ、それでお尋ねしたいのですが、この仕事の目的は何ですか?」
「……依頼を引き受けてもらうんだ、説明できることは全て話すよ。神々の悪逆が関わっているんだ」
「神々の悪逆、でございますか?」
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