第3話 何盛大に言ってくれてんだクソ親父!

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第3話 何盛大に言ってくれてんだクソ親父!

「ああああああ!!最悪だ!あんな女が許婚とか!」  成人の儀を控えている俺は、部屋を移動してアランと一緒にその準備に取り掛かりながら、絶叫していた。 「まあまあ、決まってたことだし、仕方ないじゃん。はい、これ着てね」 「……はぁ、あの野郎、俺のこと『女、女』って何度も言いやがって……」  アランに渡された服に腕を通しながらブツブツと文句を言っていた。服には誕生日パーティーで着ていたのとは色が白と違うものの、変わらず豪華な刺繍が施されている。  って、服なんかどうだっていいんだよ。ったく、何でこうなる?てか、許婚いるならとっとと言えよな。そもそも、あのクソ親父が黙ってようとか考えて、言わなかったのが問題じゃねぇか。あー、だんだんムカついてきた。 「はぁ……ホントあのジジイが死ねば解決すんのにな」 「ちょっ!?何また恐ろしい事言ってんの!?」  ヤベッ、つい口に出しちまった。と思った矢先。 「俺様はシアノに同意だぜ?ヘリオス様くたばれよな」 「なんて事言うんだよ!?陛下の悪口ばっかり言うな!」  アランが怒るの久しぶりに見た。アランは親父の事を尊敬しているのだが、何処に尊敬すべき点があるのか俺には分からない。しかし、このままだとアランが怒ったままで準備が進まない。取り敢えず謝っとこ。 「悪かったよ。着終わったから髪頼むわ」 「えっ、あ、うん」  こういう所は素直だよな、こいつ。まあ、そこが良さであり、ある意味弱点なのだけれど。  アランが俺の髪を櫛で()かしながらぽつりと言った。 「シアノのこの淡い青色の髪、綺麗だよね。いつも思うんだよ」  こいつはいきなり何を言い出すんだ。別に髪の事を褒められるのは嫌いじゃないけどさ、やっぱちょっとさ、男に言われると、複雑じゃん。しかし、何も返さないのも悪いと思い、俺は告げた。 「ありがとう。でも、俺はアランのその深紅の髪のが綺麗だと思うぞ」  とちょっと褒めてやろうと思った俺が馬鹿だった。次の瞬間、こう返ってきたのだ。 「えっ、あっ、ありがとう……」  何故、赤面する!?男相手だぞ!?あらぬ誤解が生まれるだろうが!俺達、決して一線越えてるわけじゃねぇからな!てか、お前は好きな人(レイシア)がいるだろうが!!そいつの前で赤面しろ!  心の中で俺が突っ込んでいるとクロウが表に出てきた。 「おい、今の色々アウトじゃねぇかと思うんだがよ。その辺大丈夫かよ?結構、危険の域だったぜ?」 「いや、だってシアノに褒められるとかやっぱり嬉しいじゃん。普段そういう事言わないから、言われ慣れてないし」 「アラン、てめぇいつからそんな男になったんだよ?俺はんな風に育てた覚えはねぇぞ」 「育てられた覚えもないよ」  いつまで一人芝居やるんだろう。てか時々クロウに代わるから髪がぐしゃぐしゃなんだけど。俺は申し訳なさそうに声を発した。 「あのー、一応成人の儀まで時間限られてるから髪が終わった後でやってくんねぇ?」 「あー、ごめん。やりますやります」  そう言ってアランはすぐに俺の髪のセットに取り掛かった。
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