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「成人の儀はここで閉会する。……さて、重大発表をしたいと思う!」
親父が閉会の言葉を言ったのに、何か余計な装飾を付いている。……嫌な予感がする。
「本日、我が息子シアノとルナタレア皇国からお越し頂いた第二皇女セリーネ様が婚約した」
何盛大に言ってくれてんだクソ親父!あんな奴と婚約したとか認めてねぇぞ俺は!!
なんて、こんな公な場で言えるはずもないし、酒で酔っ払って動く元気すらない俺は心の中で精一杯叫んでいた。だが、それだけでは俺が認めているようでムカついたので、声を絞り出した。
「……許婚、の件、まだ…認めて、ません…よ、私は」
「……ほう?セリーネ様が酒を飲めないと知って代わりに飲んであげていたのに、か?」
何で知ってる!?誰にも見えないようにやってたのに……。
あー、でも、親父が座ってるところは階段の上だ。見えてもおかしくはない。おかしくはないが。
「余計なことは、言わなくて、も、いいです」
そう酒で酔って顔を赤くしている今の俺が行っているのを見ても、誰もが照れ隠しだと思うのは必然だった。
か、可愛い……!!とかみんな思ってそうだな…。むかつく。
「殿下が照れ隠しを!本当に大切なのですね」
「いやはや、青春ですなー」
「殿下が結婚だなんて……!!いやぁああああ!」
様々な声が聞こえてきた。うわ、最悪。とんだ誤解が生まれちまったな。
親父による最悪な公開処刑をされ、俺は酔っ払って意識を飛ばして、俺の最悪な成人の儀は終了したのだった。
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