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第4話 姉弟勢揃いだな
「……うああああ……。頭痛ぇ……」
昨日の成人の儀を終えた俺は絶賛2日酔い中だった。
「だから無理しなくていいって言ってるのに……」
「アラン、お前分かってねぇな。早く行かなきゃ解決しないかもしれないデカい案件だぞ?2日酔いになんて負けてられるか」
神界中の国を全て回って情報を集めるということは相当な時間がかかる。だらだらしていられないのだ。
「とりあえず、税管理の仕事を……」
「あら?シアノ?」
ズキズキと痛む頭を手で押さえながらアランと廊下を歩いていると、前方から俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。その声を聞いて俺は反射的に「うげっ…」と言ってしまった。に対してアランは嬉しそうな顔で「あっ!」と言った。俺の反応を見て、視線の先にいる声の持ち主が俺に向かって不機嫌に言う。
「何よ、うげっ、て。姉に対してそれはないでしょう」
俺の声を女版にしたような声。俺と同じ淡い青色の髪と瞳をしていて可愛らしい面持ちの女。俺はそいつの顔を睨んで返答する。
「姉っつっても『双子の』だろうが。偉そうにすんな、レイシア」
そう言う俺とは対照的にアランは頬をほんのり赤く染めてレイシアに挨拶する。
「おはようございます、レイシア様」
「おはよう、アラン。ていうか、幼なじみなんだからシアノと3人の時は敬語いらないって言ってるでしょう。……朝からバタバタしてたみたいだけど、大丈夫だった?」
「あっ、はい…。大丈夫だったよ。……ありがとう……、レイシア」
「なら良かったわ」
俺と瓜二つのこの女はレイシア・ラル。可愛いのだけは認める。まるで作られた人形のように可愛い。そんなやつと顔がそっくりなのだ、可愛いと言われるのは必然だけど、俺は可愛いって言われるのは嫌なんだ。あと、上から目線と姉貴面うざい。
それから、基本、俺たち3人でいる時はアランは敬語は使わない。
そして、レイシアの名前だけは呼び捨てにはしない。小さい頃は呼び捨てだったけど、10歳を過ぎた辺りから様呼びのまま。
……だったんだけど、呼び捨てに戻ってる。何かあったな。あとでアランに洗いざらい聞くとするか。
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