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アランがレイシアの笑顔にやられている間に俺はレイシアに父が彼女に頼んだ俺の仕事の事を訊いた。
「ちょうど話があったんだ。俺の仕事、回ってきたろ?」
「税管理の事ね。オスカと分担しようと思って彼の部屋に行ってからアンタに報告しに行こうと思ってたのよ。まあ、アンタに先に会っちゃったから、色々聞いてもいいかしら?」
「……いいけど、オスカもいた方が良くないか?」
「僕ならここにいるけど……」
「「「うわぁあああああ!!!!!??」」」
突然に聞こえた声にアラン、レイシアと俺は大声を上げる。それに吃驚して申し訳なさそうな声で俺たちを驚かせた犯人が謝罪する。
「ご、ごめん。シアノ兄さんたちを驚かせるつもりはなかったんだけど…結果的に驚かせたから僕、し……」
「うわぁあ!!オスカ、それ以上言うな!ちょっ、丁度よかった。税管理の事で話があったんだ」
この影のブロンズ色の髪が右目を完全に隠している少年は俺とレイシアの二つ下の弟・オスカだ。根は物凄く優しい男の子なのだが、ある欠点がある。それは………。
「税管理…。レイシア姉さんとやるヤツだよね。………父さんは僕にも頼んだけど、僕がやったらきっとヘマしてレイシア姉さんに迷惑を掛けること間違い無しだよ。税管理だってシアノ兄さんが今まで一人でやってきたものをレイシア姉さんだけが受け持つならいいんだろうけど、僕が加わったら計算ミスが沢山発覚して正確に管理できない可能性だってあるじゃないか。いや、それ以前に僕という存在はこの世界で必要無いんじゃないか?こんな何の取り柄も無い僕はこの世界にいるだけで申し訳ないよ。今すぐ消えてなくなりたい」
「「「わぁああああああああ!!」」」
オスカの言葉に再び俺達三人は大きな声を上げた。
彼は優しい。とても優しいのだが、超超超ネガティブなのだ。一度俺がオスカの言葉を止めたのもそのネガティブ発言を止める為だ。彼は一度ネガティブ発言をし出すと言い終わるまで止まらない。その上、それを耳にしている側は気分が一気に落ち込む。兄弟の俺達はある程度耐性はある為、彼を落ち着かせる時に冷静でいられるが、多少は慌てる。対してアランはあまり耐性がないがあわあわと慌てふためきながらも必死にオスカを落ち着かせようと試みている。
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