第2話 最大の依頼とか最悪な許婚とか聞いてねぇぞ

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 俺は親父のことが大嫌いだ。いや、大嫌いになったのだ。その原因は勿論親父本人だ。  小さい頃、俺は親父の事が大好きだった。いつも親父が何処かに行く度に付いて行っていた。  しかし、俺はある条件を()むことで付いて行く許可が出た。それというのも。  女装、である。  ここで誤解しないで欲しい。俺に女装癖があるとか決して無い。それから、レイシアと瓜二つでお互いが性別を偽ってもどっちがどっちか分からないくらいだと説明したと思うし、自分で言うのも嫌なんだが、俺はめちゃくちゃ可愛いのだ。  その所為で幼い頃から色々、女物の服を着せられたんです、はい。フリフリのだの、清楚系だの、あっ、あんま露出系は着させられなかったな。俺自身もそれをやられたら男としての何かが壊れる、絶対。  着せられる事に別に嫌というのは無かったが、親父が行く街々で友人ができて、 『俺、男なんだ』  ネタバレすると揃って一度がっかりした後、まるで悟ったかのように、 『それでも俺はお前が好きだ!恋愛的な意味で!』  と言う。  いやいやいやいや!!俺はこう見えて正常男児だぁ!!やめろぉおお!!  なんて事はしょっちゅう。  流石に耐えきれなくなった俺は親父に女装をしなくていいよう頼んだ。可愛い息子の頼みだ、聞いてくれるだろう。と思った7歳の少年の予想をあのジジイは裏切った。 『お前は女の子として育てるつもりだったのだが…』  7歳の息子のプライドをズッタズタのギッタギタにしやがったのだ。信じられるか?本当有り得ない。その日から俺はあの人、いや、あのクソ親父(ジジイ)の事が大嫌いになった。その上、面倒な仕事を俺に必ず回してくるから、さらに嫌いになっていく。  あの野郎、「シアノはどうしてあんなに冷たいんだろう?」とか言ってっけど、原因お前自身だっての。ほんと、馬鹿だよな。
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