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その日は、いつも通りに過ごせたと思う。
それでも、食事中に何度か横目で彼を見てしまうが百パーセント目が合う。
私を守るためなのだから、私を見ていても不思議ではないが、変に意識してしまっている自分が不思議でならない。
お風呂は邪念を掃うためにちょうどよかったのに、今ではいつも以上に念入りに手入れを行うようになってしまった。
概ね十五分は入浴時間が伸びている。
「つ、疲れる」
勝手に自分でそうしているのに、変な気疲れがでてきた。
思いっきり布団に寝転び、背伸びをしてリラックスする。
一応綺麗にしているつもりの爪を確認しながら、明日の授業で忘れていることはないかと思い返していると、一つ課題が出ていたことを思い出し急いで片付けるために机に向かう。
冬の空気が静かすぎるのか、暖房の音や鉛筆で文字を書くときの音が際立つ。
そのなんとも言えない空間が、勉強を捗らせてくれる。
あっという間に課題を終えると、何もすることが無くなり、いつもなら読書をするのだが、今日は疲れたので寝ることにする。
「おやすみなさい」
どこかで読んだことのある絵本のように、部屋を暗くしながら目を閉じる。
様々な記憶が私の脳内を駆け巡るが、ある一定のところで意識がなくなっていく。
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