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私の日常
今日もお気に入りの本を読みながら、シトシトと柔らかな雨が降る中を私は歩いている。
歩道には紫陽花が見ごろで、雨と紫陽花の組み合わせはとても素敵だと思う。
本が濡れるのでは? そんな疑問もあると思いますが、安心してください。
私にはとても頼りになる護衛がいる。
名を蒲生 盛矢と言うが、突然両親が私の護衛として雇って以来、よく私の面倒をみてくれる。
彼は身長も高く、自分が半分濡れながらも私に傘を差してくれていた。
整った顔立ちに、少しだけまとまりのない髪型と、いつも周囲を気にしているのか、キョロキョロと動き回る瞳が印象的な人だ。
年齢は私よりも十歳ほど離れているそうで、最初は歳の離れた兄のような存在と思っていたが、困ったことに最近は別の感情も芽生えてきてる。
これがどんな感情なのか、自分自身でははっきりとわからないが、嫌な感覚ではない。
むしろ、もっと一緒にいたいと願うようになっていた。
そもそも、なぜ私に護衛が付いているのか、それは単純に命を狙われているからであった。
なぜ、これほど物騒なことになっているのかと言うと、話は去年の初冬まで遡る。
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