赤い石

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私の誕生石はガーネットだ。 赤い石。 私はこの石が自分の誕生石だということに、ずっと納得がいかないでいた。 どう考えても、魅力を感じることができなかったからだ。 妹の誕生石は、ルビーだ。 同じ赤い石でも、ルビーは素敵だと思う。 いろんな有名な逸話もあって、誕生石がルビーの妹のことが、羨ましかった。 父は地質の専門家で、鉱石には詳しい人だ。 よく海外へ地質調査に出向いていた。 私は父のように、海外と関わる仕事をしたいと思ったが、地質の仕事には興味がなかった。 何故かと考えてみると、どうも私が、自分の誕生石を好きでないことが原因だったように思うのだ。 ……なんと、単純な…… 最近になって、鉱石に興味を持つようになった。 きっかけは、インテリアとして売っていた、小さな鉱石の標本集だった。 安価だったこともあり、購入して飾り、添付されていた説明書でそれぞれの石の解説を読んで楽しんだ。 そんな時、本屋で、宝石の本を見つけた。 写真の美しい、とても良い本だった。 著者の宝石に対する深い愛情と知識を感じた。 その本を読んで、私は、誕生石のガーネットが好きになった。 なぜなら、その本の表紙を飾っていたのが、他ならぬ、ガーネットだったからだ。 なぜ著者は、ガーネットを表紙にと考えたのだろう。 単に、一年の初めの、1月の誕生石だからなのかもしれない。 でも、いいの。 私は、様々な鉱石や、鉱石の生成される過程や、父の仕事のことも、いろいろ知りたくなった。 やっぱり今でも、ガーネットには魅力を感じない。 でも、好きになった。 私の誕生石の、赤い石。 本の著者にお礼を言いたい。
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