1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
私の誕生石はガーネットだ。
赤い石。
私はこの石が自分の誕生石だということに、ずっと納得がいかないでいた。
どう考えても、魅力を感じることができなかったからだ。
妹の誕生石は、ルビーだ。
同じ赤い石でも、ルビーは素敵だと思う。
いろんな有名な逸話もあって、誕生石がルビーの妹のことが、羨ましかった。
父は地質の専門家で、鉱石には詳しい人だ。
よく海外へ地質調査に出向いていた。
私は父のように、海外と関わる仕事をしたいと思ったが、地質の仕事には興味がなかった。
何故かと考えてみると、どうも私が、自分の誕生石を好きでないことが原因だったように思うのだ。
……なんと、単純な……
最近になって、鉱石に興味を持つようになった。
きっかけは、インテリアとして売っていた、小さな鉱石の標本集だった。
安価だったこともあり、購入して飾り、添付されていた説明書でそれぞれの石の解説を読んで楽しんだ。
そんな時、本屋で、宝石の本を見つけた。
写真の美しい、とても良い本だった。
著者の宝石に対する深い愛情と知識を感じた。
その本を読んで、私は、誕生石のガーネットが好きになった。
なぜなら、その本の表紙を飾っていたのが、他ならぬ、ガーネットだったからだ。
なぜ著者は、ガーネットを表紙にと考えたのだろう。
単に、一年の初めの、1月の誕生石だからなのかもしれない。
でも、いいの。
私は、様々な鉱石や、鉱石の生成される過程や、父の仕事のことも、いろいろ知りたくなった。
やっぱり今でも、ガーネットには魅力を感じない。
でも、好きになった。
私の誕生石の、赤い石。
本の著者にお礼を言いたい。
最初のコメントを投稿しよう!