林檎の王様と真っ赤な国

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ところがどっこい ある日 国に紛れ込んだ餅がいた それは白色 そりゃ目立つ ザクロ大臣大慌てで 「白い餅が現れた! 誰か誰か捕まえてくれ」 ごうごうごうごう怒鳴っている トマト大臣 立派なヘタを触っては 「早くこちらに連れてこい。早く処罰しなければ」 冷静沈着 指示を出す それは白色 そりゃ目立つ 捕らえられないわけがない あっという間に城の中 林檎の王様の真ん前で 餅は縛られ だれている それから うわんうわん 泣きだした 「ボクは赤が好きなんだ。興味をもっただけなんだ。どうかボクを食べないで」 「この国のルールはたったひとつ。赤色だけを愛しなさい。お主は赤が好きなのか」 「もちろんさ」 「ならば白い体はいらないな。さっさと着色してしまえ」 「待って、待って、待ってくれ。ボクは確かに赤が好き。だけど白も好きだし、たまには緑になりたいよ。たくさんの色が好きなんだ」 「そんなものは要らないな。ならば焼いて食ってしまおう」 「それはどうかご勘弁を」 「ならば煮てやろう。煮るのも嫌なら揚げてやろう」 するとぶるぶる震えた餅は 最後の手だと言ってきた 「林檎の王様、あなたはとても勿体ない」 「はて。勿体ないとは何事か」 「この世にはたくさん色がある。それを知らずに赤だけ好くなんて。勿体ないにも程がある」 「それは侮辱か無礼者」 「いやいやいやいや、そうではない。私の友達に魔女がいる。魔女ならたくさんの色をあげられる。どうだ、私が連れてこよう。そうすればあなたは赤のみならず、たくさんの色を知れるのだ」 「ルールはルールだ。破ることなどあってはならない」 「ルールぐらい変えられるだろう。赤しか知らないあなたはただの無知だ。だけど、魔女に会えばあなたはただの無知ではなくなる」 「なんて生意気な餅なんだ。そこまで言うなら連れてみよ」 「仰せのままに。雪の魔女を連れて参りましょう!」 交渉成功 餅は大喜び 林檎の王様 ご立腹 ザクロ大臣 見張り役 命令されて断れず 一人でため息ついていた なんせ雪の魔女の元には 城から三日の道のりだ
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