慟哭の見えざるもの達

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8月16日 山の手の自宅にて 夜の7時過ぎ 初めての子育てをしている時から感じてはいた。 感じてはいたけれども気がつかないふりをしていた。 でも今は信じるしかないんだ。 自分の今、目の前の現実を。 いつもなら夕食を食べ終わってお腹いっぱいの息子達と好きなテレビを見たり、ビデオを見たりしながら夫の帰りを待つ至福の時間だ。 私はテーブルの上を片付け、食器を洗いジュースとオヤツを持ってきたところで2人の息子達が部屋の隅のあたりを見上げているのを見た。 2人とも微動だにしない。 2人の視線を追って私も見てみるが10畳の畳の部屋の天井の隅がそこにはあり、何ら他と変わったところなど一つとしてありはしないのだ。
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