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十年に一人の逸材。
甲子園では毎年のように現れるフレーズである。その言葉が異図するものとは完全にかけ離れてしまっているが、書く側にとっては何にも考えないのでいいので楽だし、読む側も去年も一昨年もそんなことを言ってたのを忘れてスゲーとはやし立てる。せめてボジョレー・ヌーボーくらいひねった表現をしてほしいところだが、そんなの書くのも読むのもしちめんどくさい。ゆえにこの使い古されきったキャッチコピーはこれからもスポーツ新聞やニュースのスポーツコーナーで使われ続けるのだろう。
しかしこれは野球ではなくサッカーの話である。たまに美白の誰それ、みたいなキテレツなあだ名を選手につけてしまうことはあっても、十年に一人なんてバカの一つ覚えを連呼するような記者は排除される。
ところが、だ。
本当に規格外のバケモノが来たら、そんな手あかのついた言葉を使うより他ない。
2003年、葛飾プリンセーザ12期生のセレクションにここ十年入ってきてないような天才が現れたのだ。
それ自体は非常に喜ばしい。その選手を格にしたチーム作りをすればいいのだから。
問題は、それが一人ではなかったことだった。
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