冬のお祭り

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 白い。  最初の感想はそれだった。  さっきまで暖かな火を灯していた石灯籠、 古びて黒ずんでいた拝殿の柱、賽銭箱、 今自分がたっている石畳。  全部が、透き通るように白い。そして。  『やぁ、こんばんは。迎えに来たよ。 君の名前は?』  目の前に、この世の者とは思えないくらい 美しい人が立っていた。  「………っ!」  答えちゃいけない。咄嗟に口を塞いで 首を振る。突然のことで頭が働かないが、 これが人間じゃないことだけはわかる。  『ねぇ、教えてよ。君の名前は?私を 呼んだのは君だろう?』  「~~~~っ!!」  手を伸ばされ、思わず踵を返して逃げた。 一瞬だけ触れた指先はとても冷たくて、 体の芯までが凍りそうなほどだった。  縺れる足を必死に動かして、もと来た道を 全速力でたどり始める。
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