家無し男、拾われる

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家無し男、拾われる

「え、じゃあ今まで…」 考え込んだ女…みさとの方を向いて俺は口を開いた。 「俺、普段は会社に泊まってたんだけど、ちょうど今日、会社辞めてきたからさ」 人間の世界には、「救人保護協会」というものがある。簡単に言えば、ヴァンパイア専門の暗殺集団だ。といっても、ヴァンパイアは殺される側だが。人間の世界で俺たちは「人類を脅かすもの」として常に命を狙われている。ヴァンパイアと気づかれないためにも、仕事は短く、転職をたくさんしなければならない。そんなわけで今俺は、失業中だ。そんな俺に家はなく、野宿をしようと思っていた。 「じゃあ、ここに住みませんか?」 みさとの言葉に俺は絶句した。おいおい。幾ら何でも警戒心がなさすぎやしないか?仮にも俺はヴァンパイアだ。暴走したら危害を加えかねない。そんな俺に気づかず、みさとは話を続けた。
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