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「会社行かなきゃ!じゃ、早速ですが家事とこの子の遊び相手、お願いします」
みさとはばたばたと準備しながら俺にこの子…黒猫の餌の場所など、色々教えてくれた。
「いってきます」
みさとを俺は玄関から見送ると、猫に餌をあげることから始めた。
黒猫。俺…ヴァンパイアたちは黒猫が好きだ。呪術を使う時や儀式の時、よく世話になる。先祖代々の関係からか、黒猫とヴァンパイアはすぐに仲良くなれる。黒猫は俺を警戒してはいないようだった。俺が顎を撫でるとグルグルと喉を鳴らして頭を擦り付けてきた。この黒猫は人懐っこいからか、それとも俺がヴァンパイアだからか。どっちでもいいな、と思った。俺は小動物が大好きだ。どんな理由でも好いてくれるのなら、嬉しい。じゃれてくる黒猫の相手をすることに、俺はつい夢中になった。どうやら黒猫は元気らしい。朝ごはんをあげてもあっという間に平らげてしまうし、よく動く。俺が少し掃除をしたりして相手をしなくなると、悲しげに鳴いて擦り寄ってくる。この黒猫は飼い主をダメにするな。そんなことを思いつつ気づけば俺はもふもふな毛並みに顔を埋めていた。…みさとが家にいなくてよかった、と心から思った。
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