1 瀕死、そして出会い

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くそっ。花の香りどころか、人間の匂いが全くしない。俺はこのまま死ぬのか…。最後の力も使い果たし、俺は地面に倒れた。死ぬ時はせめて空を見て死にたかった…。顔の向きさえ変えられぬ俺が、体を動かすなんて不可能である。目の前がさーっと暗くなる。あ、やばい。体はすでに動かすことができない。血に飢えて死んだ吸血鬼には、死後恐ろしいことが待っている…そんなことを聞いたことがあった。もう、いいや。どこか投げやりな気持ちで、迫りくる暗闇に身を任せる。
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