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プロローグ
こころは、どこにあるんだろう?
身体に血液を送る心臓は、胸にある。記憶したり考えたりする脳は、頭にある。
じゃあ、嬉しかったり、怒ったり、悲しんだり、楽しかったり…、誰かを、好きでいる気持ち。大切に思う気持ち。それは一体、どこにあるんだろう?
人間にある、感情というもの。それはとっても不思議なもので、いい影響も、悪い影響も、全部身体に与えてくれる。
どくん、どくん。
傍に好きな人が近づいてきた時、ドキドキする気持ち。ときめく気持ち。心音が早くなる。だからやっぱり、この大切な気持ちは、胸にしまわれているんだろうか。もし心臓が止まったら、この大切な気持ちも、一緒になくなってしまうんだろうか。
考えれば考えるほどに、わからなくなってくる。こんな大切な気持ちが、心臓が止まっただけでなくなってしまうなんて、信じられない。
そうやって考えるのは、頭の中。じゃあやっぱり頭の中に、この大切な気持ちがあるのかな? 堂々巡りになってしまう。
…やっぱり、大切な気持ちは胸の中にしまわれているはず。だって、心臓には、こころっていう文字が入っているから。
胸がしめつけられる。この大切な気持ち。心臓が止まったくらいでなくなったりはしない。ずっとずっと、この気持ちは大切な人に伝わり続けるんだ。
不思議と駆け足になる。大切な気持ちが大きくなる。手を伸ばす。ぎゅっとしてもらえば、どんなものだって怖くない。
あったかくて、ほっとする。ずっとここに居たい。それがこの大切な気持ち。
「ねえ、こころはどこにあると思う?」
どくん、どくん。
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