記憶は人を…

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まずは2人の周りを囲むように、ガソリンをたっぷりと撒く。そこから、まるで導線のようにガソリンを細く撒いていった。そして、寝室までたどり着く。少しドアを開けて、ドアの先に思い切り撒いた。これでいいかな。僕はもう一度不備がないか家中を見て回った。最後に天井と壁の一部分にガソリンを撒いたら完成だ。カメラは僕のケータイと連動するようになっている。よし。完璧だ。今宵のショーを、始めよう…。ニヤリと笑って僕はキャンプファイヤー用のマッチを擦って、壁に付着したガソリンに火をつけた。メラメラと燃える美しさにうっとりとしてしまいそうだったけど、なんとかその欲求を振り切り家を出た。車に乗ってから、僕はカメラで撮影を開始した。まだ2人が起きる様子はない。僕は車を出して、向かい側の家のガレージに止めた。この家は旧友の家で、今日泊まることをすでに連絡は取っている。先程適当に車を走らせたと言ったが、もちろんこういった計画を立てている。カメラの様子を見ると、まだ火はリビングに到達していないし、2人も起きていなかった。 僕のシナリオはこうだ。爆発音で目が醒める。動こうとするが何者かによって縛られていて身動きができない。そのうち、火が迫ってくる。ゆっくりだったのに自分に近づくと一気に勢いが激しくなる。…うん。面白い。
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