記憶は人を…

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スマホ画面を友人の家のテレビに映した。まだ起きる様子はない。その時だ。激しい音がした。カーテンを少し開けてみる。すると、黒煙が上がって、暗い空をさらに黒くしていた。テレビ画面を見ると、今の衝撃で2人は起きたようだ。 『あなた!これ、な、なに?どうなってるの?ねえ?』 『わ、わかるわけないじゃないか!なんだ?これ?なにがどうなってるんだ?』 面白いくらいにパニクっていて、僕は声を押し殺しながら笑った。楽しくって仕方がない。カーテンの外の世界を見ると、だいぶ火が広がってきたようだ。今度は赤く、世界が染まっている…なんて言ったら、厨二病と思われるだろうか。でも、本当に素晴らしい。 テレビに目を戻す。すると、赤い炎がチラチラと画面から見え隠れしていた。 『な…か、か、火事?なにが起きてるの?』 『消火器!消火器だ!…わっ』 今更縛られていることに気づいたようだ。余計にパニックになる。その間にも炎は着々とガソリンの導線を伝って、2人の元へ近づいていった。 『なんで?なんでこっちにくるの!』 絶望的な声を女があげた。男は縄を解こうと必死に体を動かしている。馬鹿だなぁ。そんなことしたら余計に身動きが取れなくなるだけなのに。僕は画面を見ることに飽きた。ケータイを持って外に出る。やっぱり、目の前で燃えているところを見るのは快感だ。僕の生きがいである。炎を五感で楽しみながら、僕は119をコールした。 「はやくきてください!家の目の前が火事になっています!」
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