家 族

1/10
2161人が本棚に入れています
本棚に追加
/702ページ

家 族

俺の腕の中でスヤスヤと眠る里桜。 前髪をそっと上げて おでこにキスをすると 無意識に俺にくっ付いてくる。 入籍をしてまだ2ヶ月。 俺たちは結婚したばかりだけど 恋人としての期間はほとんどない。 とにかく里桜を俺のものにしたくて 11月末に再会してから結婚以外 考えられず半ば強引に進めてしまった。 里桜と初めての夜を過ごして 迎えた朝に堪えられずプロポーズ。 結婚指輪まで その日に購入してしまうなんて… 自分でもビックリだった。 初めて里桜と身体を重ねて 俺は改めて思い知ったんだ… 今まで俺は誰のことも 本気で好きになったことがない。 告白されて付き合っても いつも心が伴わず相手を思いやる ことすらなくて最後には振られる最低な男。 そんな虚しい関係しか知らず 大人になった俺はいい歳をして 真っ直ぐな里桜から愛する ということを教えてもらった気がする。 俺と里桜は少し特別な… 縁で長い期間(とき)を過ごしてきた。 担任の教師と生徒。 里桜と元カレの優を ずっと応援して見守って 里桜の幸せを願い 優が里桜の笑顔を 守ってくれると信じてたのに… 二人が別れてからは 危なっかしい里桜の 傍にいたい… ただそれだけだった。 そして… いつからか… 里桜を想い 里桜だけを求めていたーー。
/702ページ

最初のコメントを投稿しよう!