家 族

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ベッドの横の棚にある ガジュマルの木の鉢植え… 新婚旅行の沖縄で 二つ買ったガジュマルの木は 寝室とキッチンカウンターの上に。 「キジムナー」と呼ばれる子供の 精霊が宿る木と言われ「幸せを呼ぶ木」 とも言われているらしい。 里桜はこの木を見ると目を輝かせて 〝紘っ、子供の精霊だって… 幸せを呼ぶんだって!すごいねっ?!〟 俺は迷わず買うことにして 里桜に二つ選ばせて自宅へ送ってもらった。 届いてからは里桜が毎日 にこにこしながら水をやったり… こっそり話しかけてる事も知ってる。 結婚式を兼ねた新婚旅行から戻り 里桜のウェディングドレス姿を思い出す度に 俺はあの日の感動がよみがえる。 大きな窓から陽の光が降り注ぎ その中に立つ里桜は本当に綺麗だった… 神々しく、まるで天使のようで… 33年間生きてきて、これ程までに 愛しいと想える女性と出逢えたこと そして… 俺の愛する妻となってくれたこと…… 神様に心から感謝をした。 旅行から戻り ある日里桜に聞いてみた。 『里桜…、ウェディングドレス以外の ドレスとか着たくない?』 『んっ…?』 ビックリしている里桜を見て 『あ、いや… あのさ、カラードレスとかさ。』 『ん〜、私は… あのウェディングドレスだけで充分幸せ。挙式できただけで夢みたいだし… 』 う〜ん、そっか… 小さなことでも大きな喜びを 感じる里桜が言いそうなことだけど どうしたもんか… 『あっ、でも紘の袴姿は見てみたいかも… 絶対に似合うし格好良いと思うもん。』 これだっ! 里桜のその一言で俺の計画は始まったーー。
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