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里桜がいる部屋へ通される。
里桜......
白無垢を着た後ろ姿。
ドキンッ...、ドキンッ...
『先生っ、里桜... あっ、奥様...。
すんごくっ、可愛らしい花嫁さんですよ?
どうぞ、こちらへ。』
挙式でのウェディングドレスとは違う...
なんて言うか
白無垢も...、後ろ姿だけでわかる。
絶対に綺麗だろう。
里桜の所へ行き、前に立つと
少しだけ下を向いている里桜が
恥ずかしそうに俺を見た。
〝ヤバいっ...、か、可愛い過ぎる......〟
右手で口元を覆い
里桜に見とれながら言葉が出ない。
そんな俺を見て小さく微笑み
『絋...?』
『えっ、あ、あぁ...
すごい... 可愛いな... 綺麗だよ...。』
ありきたりな言葉で
自分の語彙力の無さが情けない。
『ふふっ、ありがとう。
絋も素敵、やっぱり似合う。カッコ良い...... 』
『ははっ、ありがとう。でも、和装も良いな... なんか身が引き締まるというか...。』
あぁ、やっぱりやって良かった...!
最高だよ...
『それじゃあ、
撮影スタジオへ行きましょう。』
スタッフさんが言うと
『あっ、里桜っ...、今日はいっぱい写真撮るからね?感動して嬉しかったりしても...、出来たら泣かないで笑顔でいてね?』
『ユミ...?う、うん。わかった!笑顔だね?』
『そうそう、里桜の最高の笑顔でね?』
何も気付いていない里桜は
素直に返事をしていた。
ユミの言葉はこれから起こる
里桜にとっては驚きと感動の連続に
出来るだけ泣かずにいて欲しいと
メイクのプロとしてのお願いだった…。
ユミと俺は目を合わせて小さく笑ったーー。
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