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まずはスタジオでの撮影に向かう。
先にスタジオでの撮影を一度終えてから
お義父さんとカイトに会うように段取りを
していた。
絶対に泣くと思うし
最初の写真は心穏やかに撮って
お義父さんに花嫁姿を見てもらい、里桜と
一緒に写真を撮って貰いたいと思っていた。
滞りなく撮り、次は外での撮影と言い
スタジオから出ようとドアへ向かうと
お義父さんとカイトがゆっくりと入って来て...
里桜は全然気が付かないみたいで
手を引く俺の手の少し下に目線がある。
さっき、着物が重いと
言っていたからどうしても目線は下へ。
『里桜…… 』
里桜の足が止まる。
『里桜…、綺麗だな…… 』
里桜の手に力が入って
頭を少し上に上げて声の方を見た。
………………。
えっ…
『里桜…、ありがとう。
里桜の... 花嫁姿を見られるなんて... 』
〝うっ...うぅ... 〟
と手を口元にあてて
肩を震わせるお義父さん。
里桜を見るとすごく驚いていて
顔がみるみる歪んで
泣くのを堪えているのがわかった。
...............。
〝スーッ〟とひとすじの涙が頬を伝う。
お義父さんの涙と里桜の涙......
二人を包むなんとも言えない空気。
今までの長い長い二人の時間を感じて
俺も胸がいっぱいになって泣きそうになった。
『パパ...、来てくれたの......?
私こそ… ありがとう。カイトまで...... 』
ユミがハンカチで里桜の涙をそっと拭う。
『ユミ...、泣いちゃった...。』
『大丈夫、大丈夫だよ...。』
ユミも涙ぐんでいる。
『絋...、絋は最初からパパに...
私の花嫁姿を見せる為に... うぅ、ありがとう』
『里桜、ごめんな?内緒にしてて... 』
〝ううん、嬉しい...。ありがとう... 〟
そう言って微笑んでくれたーー。
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