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この間また、由紀が家に来た。というか呼んだ。親のいない日に。
創立記念日で学校が休みだった平日、待ち合わせしてファストフードで昼飯を食べた。それから映画でも行こうと話していたところ、母親からスマホにメッセージが入った。幸子おばさんが風邪で寝込んでいるらしいから様子見てくる。夜ご飯適当に食べててと。
ということは夜まで確実に母親はいない。これはもう、チャンスというヤツではないか。
映画はやめて、俺ん家で観ようとレンタルビデオを借りた。ポテチとコーラも買った。
この前準備不足だったアレも、実はあれからすぐ用意した。レジにドキドキしながら持って行ったけど、コンビニの店員は特に気にもとめずピッとバーコードをかざしビニール袋に放り込む。
なんだ、別に恥ずかしくないじゃん。
家に帰って机の引き出し奥に隠した。何回かお試しでセルフサービスの時に使い、とりあえずどうにかなる、という自信は得た。
一応ただいまと声を出して玄関をくぐる。
母親がいないことをリビングで確認し、由紀を部屋へ通す。
ミケは? と尋ねられたが、姉の部屋で多分寝てると素っ気なく返す。
だって中身は三宅さんだぜ。この前はそれを知らなかったから仕方ないけれど、三宅さんの前でセックスするなんて断固お断りだ。由紀の裸を見せるのも嫌だし、彼の娯楽になるなんてまっぴらごめんだ。
ミケを抱っこしたいと言われるかと思ったが、寝てるんなら起こしちゃ可哀想だよねと由紀もそれ以上せがまず、DVDのデッキを操作している。
ベッドに並んで座って、脇には袋を破いたポテチとコーラのペットボトル。二人だけなのに不必要に大きいDVDの音量。ハリウッドのアクション映画は冒頭からズキュンズキュンズババババーンとガンアクションが繰り広げられているし、俺の身の内の拳銃もいつでも使用OK状態だ。
こてんと、由紀の頭が俺の方に乗った。それはもう、合図だった。
ゆっくりと、彼女を抱き寄せる。髪を撫で、頬を撫で、その手を顎にかけ上を向かせる。何度も口づけした唇は今日もプルプルと艶めいて俺を惹きつける。邪魔するものは何もない。
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