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ミケの秘密
母親が学生時代の友人たちと一泊旅行に出かけたある日、学校から帰ってきた俺にミケがニャーニャーまとわりついてきた。エサ皿を見ると空っぽで、そういえば朝出かけるときに継ぎ足ししようと思いつつ忘れていたのだ。
やべぇやべぇ、姉に見つかる前でよかった。
ゴメンと言いながらエサ皿にキャットフードをザザッと入れる。待ってましたとばかりにミケは鼻を突っ込んでガツガツ食べる。
自分の家で飼っているペットの頭や背中を撫でるのに、可愛い以外の理由はいらないだろう。俺も特別意識せず、何とはなしにエサを食べているミケを後ろから撫でていたんだ。
すると指が何かに触れた。
それはモコモコの毛がある動物には相応しくない固形物。怪我をしたときのかさぶたとはまた違った硬い金属のような手触り。
ん、これ何だ? こんなのあったっけ? と深追いするのは当然だと思う。
エサに夢中だったミケは俺の行動に気が付くと、ニャーッと身をよじって逃げ出そうとする。首周りを掻かれるのは好きなのに、この硬いものをいじられるのは嫌みたいだ。
太ももの間にミケを挟んで動きを封じる。
後ろ首にある硬いものを指で引っ掻くと、ジジジと下がった。ミケの首に俺の指一本分の穴が開いた。
これってもしかしてアレか?
穴に指を突っ込み探ると、裏側に隠れていたチャックの金具が見えた。
猫の背中にチャック? あり得ない!!
何だよこれと大いにビビった。ミケが俺を見て観念したようにニャーンと鳴く。もう抵抗しない。
唾を一回ごくんと飲み込む。
今家には俺しかいない。すごく恐ろしいが、仕事から帰ってくる姉を待ってからなんて俺の好奇心が持つ訳ない。
覚悟を決めてジジジとゆっくりチャックを開いていく。すると中からモヤモヤモヤと何かが出てきた。
中から現れたのは半透明乳白色の、三宅さんの霊体だった。
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