七月二十七日(土)

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「明日、来るよな?」  プールからの帰り道。航大が突然尋ねた。  明日? 来る? とクエスチョンマークを浮かべていると、呆れたような表情で溜息をつかれる。 「それでも彼女かよ」  相変わらず破壊力のある単語に胸が詰まる。「期間限定だけど」とかすれた声で反論した。 「それでもいいから来て、明日の練習試合。うちのグラウンドでするから」 「えー……」  心の声が躊躇なくそのまま出てしまった。 「てか、今日遊んでて大丈夫だったの? 試合あるのに」 「そんな大した試合じゃねえもん。顧問が相手校と知り合いとかで」 「……ふーん」 「なんで嫌なの」 「暑いじゃん」 「は? これまで来てなかったのもそれが理由?」  頷く。むしろそれしかない。太陽に灼かれる真夏のグラウンドは、まさに地獄そのものである。 「冬は?」 「寒いから」 「だろうな。じゃあ、春とか秋は?」  黙る。気温の問題がないからである。他にもっともな理由が浮かばない。あっけなく追い詰められた。 「めんどいだけかよ」 「課題とかあるし……」 「えっ、まだ終わってねえの?」  マジかこいつ、みたいな表情を向けられる。 「あんだけクソ真面目に初日からやってたのに?」 「読書感想文がまだなの」 「それ以外は終わってんだろ?」  断る、という選択肢は与えられないのか。 「来いよ、彼女だろ?」 「き」 「期間限定でも」  言わせない、とでも言うように遮られた。 「何でもかんでも理由付けするのやめてよ」  言い終えて、あっ、と思わず声が出た。言いすぎた。なんで、こんな。 「……そんなに行きたくねえのか」  溜息混じりに吐かれる。胸が痛むのと同時に、困惑した。絶対怒られると思ったのに。  ……もう、なんなの。あんたも、私も。 「じゃあもう、幼なじみとして来て」  投げやりに言われ、「わかった」と頷いた。  そこから家に着くまで、私たちの間に会話はなかった。
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