ワスレナイョ?…

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ワスレナイョ?…

刑事がアイちゃんのことで私を探してるとしたら私とアイちゃんとは接点があり、しかもこのタイミングで県外へ行ったので逃亡したのかと思ったのだろうか?アイちゃんのご両親も私を探してるようだった。 アイちゃんは親に心配させないように無職のことは言わず、私の雑貨屋で働いていると言ってたのだろう。 それともご両親も私がアイちゃんを? 勿論、私が県外に出たのと今回の事件は全く関係ない。 県外に出てたのは、たまたま色々あって別件で出ざる得なかったからである。 しばらくすると犯人が捕まり、私の周りも静かになった。 アイちゃんは首を絞められて港近くの側溝に捨てられてたそうだ…ショックと言うか…後悔と言うか… せめて店を続けとけば… 私が近くに居たら頼りにならないが、相談してくれただろうか? まさかあの時のように夜中コンビニへ行く途中、私みたいなナンパ男に声かけられてアイちゃんは純粋な子だったから人を疑わずに夜中犯人のクルマに乗ってしまった? だとしたら私の責任だ。 私がナンパで怖い目に合わせれば、もう二度と怖いから夜中歩かないはずだ。 そんなこと私ができる訳がない。 ましては素朴な女の子を… 何が 『話術でオンナを落とす自身はあった』 だ?犯人も落としてるではないか。 自分で思ったことが情けない。 今更言ってもしょうがないことだが… 私が思うには、ナンパで会ったならカラダ関係か金銭関係のトラブルだろう。そうでないと殺すまではしないと思う。いや実は私の知らないことで本当は彼氏がいて二人付き合ってて恋愛関係のもつれかも知れない。それかストーカーか通り魔か… いずれにしろ私は何か後悔している。 他にもアイちゃんよりまだ若い子がマンションの屋上から飛び降り命を絶った子とかもいるが、何故それ程までにアイちゃんが私の心に残っているかと言うとナンパして知り合った子の中にこんなに素直で純粋な心を持った子はいなかったし一緒にいると何よりも癒された。 マンションから飛び降りた子の理由も知っているが、アイちゃんの場合、死にたくて死んだのではない。もっともっと生きたかったんだ。 出逢いはナンパで不純かも知れないが、アイちゃんは最後まで純粋だった。いや純粋過ぎだったのかも知れない。 日頃の人間関係で疲れた時、会うだけで癒されて裏切りや駆け引きなどしない素朴で純粋なアイちゃんの笑顔で救われた時もあった。でも、もう二度と逢うこともできない… あの事件から数十年、今や私もやましいことなど一切なく何とか平凡に暮らし家庭を持ち、丁度あの時のアイちゃんと同じくらいの子どもがいる。 偉そうに私が言うのも何だが、 親心としては可愛い子どもが一人暮らしをするのは特に色んな体験をしてる親はとても心配なこと。 多分休みの日には、家族揃って店を周り家電や家具、カーテンの色まで一緒に選び、娘は喜び親は不安で複雑な気持ちだっただろう。 それでも娘の夢だった一人暮らしを応援して家から出したら…… まさか変わり果てた姿で娘が帰って来るなんて想像もつかなかっただろう。 あの時一緒に選んだカーテンの色もくすんで見え家電や家具を一人暮らしのマンションから引き払う親の心情を思うといたたまれない。 私だったら耐えられるだろうか? 娘を失ったその苦しみは一生続く。 子どもは何があっても絶対に、絶対に親より先に逝ってはいけない。 一人暮らしが夢でこれから次の夢へ向かう途中だったのに…… 暗かっただろう。 怖かっただろう。 痛かっただろう。 苦しかっただろう… 「もっと生きてたかったょしゃちょ〜」 遥風が止みそんな声が聞こえる… 「ごめんょアイちゃん助けられなくて」 遥風が吹きそんな声はもう届かない… 出逢った時と同じように遥風だけが… 心からご冥福をお祈りします。 p.sアイちゃんへ 『 癒しの笑顔で救ってくれてありがとうね。なのに救ってやれなくてごめんね。ずるい しゃちょ〜 だったね 』 『 アイちゃんのこと一生忘れないようにここに残しとくね 』
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