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つい最近まで、この世界では、人間はα β Ωという第二次性をもっており、第一次性の男女よりも重要視されていた。αが地位も名誉も財も容姿も全て兼ね備えた絶対的な支配階級でその下に一番人口の多い平凡なβ。
そしてそのさらに下に完全に支配される側のΩ。
またΩには発情期があり、薬を飲んで抑え、番契約の無いΩは、発情期中はなるべく外に出てはいけないと法律で定められていた。もし発情期中に外に出てしまい、αに襲われるようなことになってしまったら法で裁かれたのはΩで、加害者はΩ、被害者はαというのが、当たり前の世界だった。
今では、この色は濃くないが、未だにうっすらと残っており、βの両親から産まれ自身もβだったのに中2で第二次性変異がおきΩになってしまった森田秋(もりたあき)にとっては生きにくい世界だった。Ωはαの性欲処理のために襲われることも多く、秋自身も今まで身の危険を感じたことは何回もあった。またΩは首筋をαに噛まれると番になってしまう。番とはαとΩの特別な繋がりで、番がいるΩは番以外のαに触れられると嫌悪感を生理的に抱くようになる。なのでΩは基本的に首に守るための保護帯を着けており秋もその一人だった。保護帯はαが噛みきれない特殊な布で出来ており、ちょうど、真ん中についているタッチパネルに暗証番号を打ち込まないと、外せなくなっている。中2のときに両親が秋のために買ってきてくれたもので、空色の布地が気に入っており、買い換えたりせずにずっと使っていた。今では、体の一部のよおうなものになっている。秋はその保護帯を弄りながらテレビで朝のニュースをぼんやりながめていた。
「秋、今日は何時に終わるんだ?」
淹れたてのコーヒーをテーブルに置きながら白神清治(しらがせいじ)が尋ねてきた。秋と清治は幼馴染みで清治は、秋より二歳年上だった。清治は完璧なαで世界にたくさんの支社をもつ貿易会社の跡取りだ。今は将来のために会社で営業として働いており、実績もつねにトップだと聞いている。βの両親から産まれている秋とαの清治が幼馴染みなのは、秋が4才のとき、清治の母親が綺麗な広い庭がほしいと言って校外に引っ越してきたため家が隣になり、年も近く、両親同士も仲良くなり、二人も自然と仲良くなったためだった。
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