あなたに想いを

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倉科は奈々子を寝室に誘うと、彼女の顔についばむようなキスを浴びせかけた後、そっと唇を重ねた。最初は軽く、そして押さえつけるようにお互いの舌を絡めながら。初めて知る感覚に奈々子の身体は力が抜けてくったりとした。倉科がブラウスのボタンを一つずつ外しながら、奈々子の首元をたどり口づける。そして、ブラジャーを外す。 「君と会うたびに、君に触れたくてたまらなかった。こんな風にーー」  そう言って、優しく触れながら、そっと乳房に唇を落とす。 「ああっ……」  与えられた刺激に感じ入ったように奈々子は声をあげて身をよじる。  倉科が急いでYシャツを脱ぎ捨て、奈々子の上半身を自分の身体に凭れかけさせた。後ろから彼女を抱きしめると、耳元に口づける。左手で胸を愛撫しながら、右手で膝から腿へ、さらに上へと摩っていくと、彼女の秘所に触れる。  奈々子が泣きそうな顔で、恥ずかしいと言う。なだめながら彼女に言う。 「大丈夫だから僕にまかせて」  彼女の服を一つずつ脱がしていき、優しく愛撫しながら彼女の秘所を指で拓いていくと、少しずつ潤っていくのがわかる。初めて与えられる官能をどう発散すればよいのかわからず、身をよじる奈々子を横たえる。 「できるだけ、優しくするけど、それでも痛かったらごめん」  そう言うと、倉科は素早く避妊具をつけると、秘所に最初は少しずつ、そして一気に侵入すると、痛みのためか、奈々子は声を上げた。その痛みに耐えても自分を受け入れてくれようとする彼女が愛おしくて、思わず抱きしめる。 「愛しているよ、奈々子……ずっと大事にするから」  そう言って彼女にキスをした。そして彼女も彼の背中を抱きしめて、自分からキスをした。倉科は最初ゆっくり動いていたが、奈々子がその動きに合わせていくとお互い熱に浮かされたかのように、名前を呼び合う。そして抑えきれない興奮の中、奈々子は自分を呼ぶ倉科の声を聞きながら、意識を手放した。  明け方、一人目を覚ました奈々子は、一瞬自分がどこにいるのかわからなかったが、ここは倉科の部屋で、昨日の出来事を思い出し赤面する。  誰かを好きという思いが、一人よがりの物でなく、倉科も自分を愛していてくれたことが何よりも奈々子を幸せな気持ちにしてくれる。  カーテンの隙間から見ると、外はしとしとと雨が降っている。確か、最初に倉科に送られた日もこんな雨が降っていた。でも、今日の雨は哀しい雨でなく、やさしい雨だ。 「ーーまだ早いから、もう少し寝ていよう」  毛布に包まった倉科に後ろから抱きしめられて横になる。目覚めたら、朝ご飯何作ろう……一緒にモーニングを食べに行ってもいいかもしれない……そんなことを考えながら、奈々子はもうしばらくまどろんだ。 
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