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Second Date
週が明けると、物思いにひたる間もなく仕事に追われる。特に、電話での問い合わせや商品の注文が多く、バタバタと時間が過ぎていく。三時を回った頃、休憩室に向かう廊下で外回りから帰ってきた倉科とすれ違う。
「お疲れ様です」
そう声をかけると、倉科は通りすがりにかすかに笑顔を返した。職場では、これまでどおり何もなかったように過ごしている。
そして、仕事では原田にも会う。原田の姿を見ると、つらくなる。自分の叶わぬ思いに区切りをつけなくてはならないけれど、それにはまだ時間がかかりそうだ。
幸か不幸か、帰宅すると次のデートをどうするのかという宿題があるため、気が紛れるのは確かだ。奈々子は行き先を色々考えるが、いいアイデアが思いつかない。そのうち倉科からLINEでメッセージが届く。
ーー週末の予定は決まった?
ーーなかなかいい場所が思いつかなくて……
ーー佐倉がデートスポットで思いつくのはどんなところ?
ーー横浜とか東京ディズニーランドかな?
ーーそれなら週末は横浜に行こう
土曜日は午後に最寄りの駅で待ち合わせをして、二人で横浜に向かう。横浜みなとみらい21は商業施設をはじめ、沢山のスポットが点在しており、行き先には事欠かない。
「今回は佐倉のデートの練習だから、王道の横浜ランドマークタワーから行ってみようか」
倉科の言葉に一瞬困ったような表情を見せる奈々子に、笑いながら言う。
「いや、からかってるだけだから。こういうところには行く機会ないし、一人で行くのも気が引けるから、ちょうどいい機会だと思って」
69階にある展望台には高速エレベーターで上がっていく。展望台からは360度に渡っての眺望を楽しむことができる。
「そういえば、佐倉はここに来るのは初めて?」
「いえ、ずっと前に友達と来たことはあるんです。久しぶりだけど、ここから見る景色ってすごいなあって思う」
「どんなところが?」
「この景色の中では人ってすごく小さな存在だなって。でも、その小さな存在の一人一人が今を生きていると思うと、感動します」
「確かに」
「あ、でもそんなことばかり考えてる訳じゃなくて、普通に風景も楽しみますよ」
眺望をしっかり楽しんで、二人はランドマークタワーを後にする。
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