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絵画のなかへ
月明かり 浮かぶ階段 その先に野良猫
影を長く 階段に落として
波音に包まれている
小さな口笛で呼べば おもむろに振り向く
なんだ人間か、と言いたげな眼差し
なにも言わずに なにか思っている
者たちの多さを思う
人はなぜ 人を求めるの
どうして人だけ 選ぼうとするの
同じ言葉を話すから
わかりやすいから
なんてうそぶくけれど
さみしければ さみしいほど
人以外に会いたい
そうよ 役にも立たない言葉を捨て去って
階段をそっと踏み出す
猫は夜の海に視線を戻す
気にするふうもなく
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