ひとときの団欒

1/1
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

ひとときの団欒

「………やっぱり、夏本番にはかき氷よねぇぇ!」 結局、ワタシ達は、全員で桐生うどんを注文してから、かき氷も頂く事にしたんだけれど………。 ………皆で、イチゴシロップに練乳を添えて貰って、何だか贅沢な気分。ワタシ達の全員が、ひんやりとした気分に包まれて、思わず幸せを分かち合えるひととき。 そこへ、お店のお婆ちゃんがワタシ達の傍らにやって来て………。 「どうだい? アンタ達。………お味の方は?」 千夏がお婆ちゃんに話した。 「凄く美味しかったよ!さっきのおうどんも、美味しかったし。このかき氷も、アタイ、こんな美味しいイチゴさんのかき氷、初めて食べた気がするぅ………。」 お婆ちゃんは自信たっぷりに答えた。 「そりゃそうさねぇ。このイチゴのシロップは、ワタシのオリジナルだからね。ウチの畑で採れたイチゴをだねぇ、ラム酒に1日付け込んで、お鍋で三日三晩、コトコトと煮込んでねぇ………。」 「………へぇぇ~。スゴいんだぁ。」 「何でも、手を抜いてちゃあ、良いものは作れないからねぇ………。」 ワタシ達は暫く、お店の軒先にある御座敷で腰を降ろして、お婆ちゃんと談笑しながら、話に華を咲かせてたかしらね………。 そこへ、お店の前の通りを、フリルの付いた紫色のドレスを着飾ったひとりの女の人が通り過ぎようとしていたのだけれど………。 ………何だか素敵。ドレスもそうだけど、そのドレスを着こなしてるあのお姉さんも輝いて見える。ワタシも早く大人になって、あんなドレスの似合うファーストレディーになれたら良いのになぁ。それに、ワタシにも、あの人みたいなお姉ちゃんがいれば良かったかも。………な~んて、思ったりなんかして。 その時の事だったかしら………。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!