1.今日も彼は朝帰り

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「また女の子と遊んでたの?」 「つき合いだよ。誘われちゃって」 「ああ、合コンね」  冬馬くんはなぜか彼女を作らない。今日みたいに合コンしたり、女の子とデートしたりはするけれど、それはいわゆる“遊び”にすぎない。  ふいに冬馬くんからふわっと甘い香りがした。 「朝帰りするなら自分のマンションに帰ってよ。なんでわざわざここに来るの?」 「だってここからのほうが会社に近いし」 「それじゃあ、なんのためにひとり暮らしをはじめたのかわかんないじゃない」 「まあまあ、そう固いこと言わないでよ。それより寝よ?」  冬馬くんはいつもこんな調子だ。もう、人の気も知らないで。 「あっ! ちょっとだめだって!」 「え? だめなの?」 「だって眠いんだもん」 「でも我慢できない」 「冬馬くん、夕べほかの女の子としてきたんじゃないの?」 「なんで?」 「だって、においがするから」  触れあったあとのにおいがする。いまも冬馬くんからしているそれは明らかに女性用の香水だ。 「ああ、これね。女の子のなかにすっごくきついにおいの子がいたんだよ。きっとその子のだよ」 「別に隠さなくてもいいよ。お互い束縛し合う関係でもないんだし」 「じゃあ、なんで怒ってんの?」 「怒ってなんて……」  冬馬くんの言う通り。たしかにわたしは怒っていた。
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