7.いつもと違う彼のキス

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「バレちゃったね」 「すみません。わたしのせいで」 「大丈夫。とりあえず出ようか」 「はい」  仕方なくバーを出ることにした。エレベーターホールでも謝ったけれど、サイジさんは「気にしなくていいよ」と明るく言って、わたしの気持ちを軽くしようとしてくれた。  エレベーターが到着し、どこに行くんだろうと思っていると、サイジさんは客室フロアの階のボタンを押した。 「俺の部屋に来ない?」 「え?」 「変な意味じゃないよ。俺、写真週刊誌に狙われているから、外に行くと写真を撮られちゃうかもしれない。輝ちゃんを巻き込みたくないんだ」  事情は理解できるけど。うーん、部屋にふたりきりというのはどうなんだろう。  でもサイジさんなら大丈夫だよね。昔からの知り合いだし、いまさらどうなるものでもないだろう。そう思い直し、サイジさんのあとをついていった。  部屋に入るとマンションの一室みたいにリビングがあって、L字型のソファとローテーブルがあった。ベッドルームは奥のドアの向こうにあるらしい。 「座って。とりあえずビールでいいかな?」 「はい」  少し緊張しながらソファに腰をおろすと、サイジさんは冷蔵庫から缶ビールをふたつ持ってきて、わたしの隣ではなく斜め向かい側に座る。乾杯をすると、缶のままごくごくとビールを飲んだ。
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