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(side 冬馬)
創立記念の式典の最中だというのに、俺は我慢できなくなって輝にキスをした。輝は最初こそ驚いていたみたいだったけど、そのあとは拒むことなく、従順に俺のキスを受け入れてくれた。それが逆に申し訳ない。俺ってサイテーじゃん。
「ごめん」
「ほんとにどうしちゃったの? わたし、なにかしたのかな? 気に障ることをしたんなら謝るよ」
輝は怒らなかった。逆に自分に非があるんじゃないかと不安がっている。
「輝はなにも悪くないから。俺が……」
勝手にやきもちを焼いているだけなんだ。格好悪い。ほかの女の子と遊びまくってきた俺に束縛されるなんて、輝にしてみたらすっげー理不尽だよな。
結局どうしていいのかわからなくなって、今日の夜に会う約束をした。とにかく俺のところに帰ってきてほしかった。今晩、気持ちを伝えようと思っている。
受け入れてもらえるかわからない。だけど俺は輝とそういう関係になって以降、一度たりともほかの女を抱いていない。輝だけだった。それくらい本気だ。
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