2.彼女は大事な存在

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(side 冬馬)  今日は同じ会社の人に誘われての合コンだった。こういうのはいつものこと。俺もみんなでわいわい飲むのは好きだから、つい誘いにのってしまう。  いろんな女の子と遊ぶのも大好きだった。遊びすぎて特定の彼女もいたためしはない。でもそれなりに楽しい。そう思っていた。少し前までは。  最近は違う。それもこれも……。  とくに女の子と遊んだ日は、無性に(ひかる)に会いたくなる。合鍵を持たされている俺は、時間なんて関係なく、ここに来てしまう。  なあ、輝。これはどういうことなんだ? 普通、合鍵ってどうでもいいと思っているやつには渡さないもんだろう?  でもまさかな。輝はいまもあいつが好きなんだから。 「朝帰りするなら自分のマンションに帰ってよ。なんでわざわざここに来るの?」 「だってここからのほうが会社に近いし」 「それじゃあ、なんのためにひとり暮らしをはじめたのかわかんないじゃない」  ひとり暮らしをしているマンションがあるのに、ここに来る理由を輝が知ったら驚くだろうな。てか、引かれないか? 俺の気持ちを知ったら……。
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