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黒い魚 アピア
それからエスタは約束どおり、魚のもとへ通った。銀が手に入るたび、麓へ下り、泉をのぞく。魚はエスタが訪れるのをいつも心待ちにしていて、足音をさせるだけで飛び跳ねて歓迎してくれた。
もう一つの約束、――他言してはならない――。そのこともある。弟エストや師匠、まわりのものにも気取られる事なく、慎重に、魚と秘密の関係を続けていた。
日ごとに回復していく魚を見るのがエスタにとって何よりの喜びになった。水面下でキラキラ泳ぐ姿をみるのが楽しみでならない。それに、魚が話してくれるこれまでの旅の話しも、とてもわくわくする冒険譚だった。
魚の名はアピアといった。
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