SCENE1 廃校舎②

11/11
322人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
 銃の男も近づいてきて、2人して夏美の体を引き起こす。  軽々と持ち上げられ、夏美は恐怖に震える。体格のいい男達から見れば、彼女など子供みたいなものだろう。  あっ、ああぁ……。いやぁっ!  一人に両手首をつかまれ、吊し上げられてしまう。さっきのダメージ、そして男の圧倒的な力により、夏美は抵抗することもできない。  銃の男が夏美の顎に手を当て、上を向かせる。そして、その目の前に銃口を突きつけてきた。  「お、お願い、やめて……」  ふるえる声で哀願する夏美。  男は夏美の頬を握り、力を入れた。無理矢理に夏美の口を開く。  あ、あぐぅ……。  怯えて目を見開く夏美。  男は銃口を夏美の開いた口に差し入れた。そして「ちっちゃくて可愛い顔だな」とニヤリと笑う。  いや、いや、いやぁ……。  夏美は何度も小刻みに顔をふり、助けを求める。  その仕草を見て、男達は顔を見合わせ、嬉しそうに笑う。  た、たすけてっ!  口の中に冷たい鉄の味を感じながら、夏美は声にならない悲鳴をあげた。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!