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SCENE1 廃校舎④
夏美の口に銃を差し入れていた男が、いったんそれを取り出した。彼女の頬からも手を放す。
あ……ああぁ、はぁ……。
息を吐き、胸をなで下ろす夏美。だが、絶体絶命なのは変わらない。脅えた目で男の動きを見る。
夏美を持ち上げていたもう一人の男が、彼女の両手首を放す。
ストンっと夏美の足が地に着くやいなや、パアンッ! という乾いた音が響き渡る。
発砲されたのだ。
ひっ! と短く叫んで、夏美は腰から崩れ落ちた。
だが、弾はあたっていない。後ろの壁に深くめり込んでいた。その穴から、煙が立ちのぼっている。
男達が笑い「殺すより、売り飛ばした方がいい」と頷き合った。力が抜けきっている彼女の体をなめ回すように見る。
夏美はショックで立ち上がることができない。その場にへたり込み、ガクガクとふるえながら、男達を見上げる。
どうしよう? どうしよう? どうしよう……?
瞳が潤んできた。自分で自分の肩を抱くようにして、儚げな表情で怯えている。
そんな様子を見て、男達はすっかり気を弛めていた。
ずいぶん可愛らしいが、どうも、日本の警察官のようだ。とりあえず捕まえて、警察の捜査がどの程度進んでいるのか喋らせ、それからどこかへ売り飛ばそう。
もちろん、その前にたっぷりとかわいがってやる。
……そんな算段を巡らせているのだろう。
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