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空間が歪んだ? ちがう。我々の目と夜空の間、あの倉庫の上に、何かいる。透明な何かが……。
そう思った次の瞬間、まさに見ていた場所に、突然、人が姿を現した。
そんな馬鹿な! 唖然とする原木。
堂々とした体躯。シルエットからすると男だろう。特殊部隊か軍人のような格好をしている。顔にはフルフェイス・マスク。どこかで見たような服装だが、思い出せない。
「誰だ? おまえがRか?」
原木が大声で問いかける。同時に、部下達が銃を取り出し構えた。
すると、男は再び一瞬で消えた。
それぞれが驚きの声をあげ、戸惑う。行き場をなくした7つの銃口が戸惑いを現すかのように揺れる。
また、何かが空中を飛ぶ気配。それが流れるように、原木の頭上を掠めた。
思わず身を屈め、そして振り返る。
倉庫から原木達を挟んで海側に、何かが降り立った。
まさか?
ゴクリ、と唾を飲み込む原木。
そこに、突然さっきの男――Rが姿を現した。
と、透明人間? 化け物?
降り立ち姿を現すと同時に、Rは両手にサバイバルナイフを煌めかせる。そして、大柄な体からは思いもつかないほど素早く動いた。
銃を構え直そうと動き始めた部下達。その最も近くにいた者の喉を掻き切る。
グバァッっと妙な叫び声をあげ、切られた部下が倒れた。血飛沫が上がっている。
Rは振り向きざま、唖然として立っていたもう一人の心臓を貫いた。その男は声も出せずに一瞬で崩れ落ちた。
「くそっ」と別の男達が銃を構える。だが、それより一瞬早く、Rの両手からナイフが放たれた。
2本のナイフが、銃を構えた部下2人の心臓に突き刺さる。
まさか、と目を見開いたまま、2人ともドウッと倒れた。
別の者達が体制を整えたところで、再び消えるR。
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