SCENE  3  Cafe「一花」

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 「花さん。ありがとうございます」  ペコリ、と頭を下げ、夏美は早速かぶりついた。  ウインクしながら「ふふ……」と笑う花さん。  「なによ、この娘。もう機嫌なおってる。ちゃっかりしてるなぁ」  呆れて肩をすくめる絵里。そう言いながらも、彼女もハナ・スペシャルにご満悦だ。   奧の席で、女の子が2人「おおっ!」と言いながら立ち上がった。  「ちょっと、環菜に清香、行儀悪いから座りなさい」  たしなめているのは熊野さんという女性で、小説を書いているらしい。この間、警察のことを知りたいから取材させてほしいと言われ、ここで一緒に食事をしながらお喋りしたことがある。とても楽しい人だ。  「だって、あんな美味しそうなものを見て、ジッとしていられるわけないじゃん」  清香と呼ばれた女の子が、当たり前のように言う。  「右に同じっ!」  環菜と呼ばれた女の子も、勢いよく手を上げた。どうやら2人、高校生らしい。  「はいはい、大丈夫。あなた達の分もちゃんとあるから」  花さんが笑顔で言った。  「やったーっ!」  その場で飛び跳ね、ハイタッチする環菜と清香。  「騒がしいっ」と熊野さんがテーブルを叩いた。その拍子にグラスが倒れ、水が零れる。  「わっ、ヤバイヤバイ」  3人が慌ててテーブルを拭き始めた。  なんか、愉快な人達だなぁ。どういう関係なんだろう……? 夏美が微笑みながら視線を送る。  「すいません。よりによって落ち着きのない方から上位3人でお邪魔しちゃって……」  熊野さんが頭を下げた。  「大丈夫。落ち着きのなさならこの娘達も負けてないから」  早苗が笑いながら夏美と絵里を指さす。  環菜達の方にもハナ・スペシャルが運ばれ、幸せそうに食べ始めた。
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