SCENE  3  Cafe「一花」

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 しばらくすると「ところでさ、夏美ちゃん」と早苗が様子をうかがうようにのぞき込んできた。  「な、何ですか?」  「この前の話、どう?」  「え? イヤだって言ったじゃないですか」  慌てて首を振る夏美。  「何? 何? 何なの?」と興味深そうな絵里。  「週刊誌からグラビアの依頼が来たの。最前線の可憐な刑事って、ドラマの紹介みたいなタイトルだけど、それで夏美を撮りたいって」  「だから、私そういうの、絶対イヤです」  首だけでなく、両手も振ってことわる夏美。  「何でよ? いいじゃない。警察のイメージアップにもなるって、広報課長は喜んでたわよ」  「え? 夏美に? すごいじゃん。やっぱ、可愛いからなぁ」  絵里が嬉しそうに夏美の肩を叩いた。  そう言う絵里だが、すでに別の週刊誌でグラビア経験済みだった。華麗なる白バイ隊員、というタイトルで巻頭カラーを飾ったことがあるのだ。   「絵里さんがやればいいじゃないですか。前のグラビア、反響すごかったし」  夏美が叩かれた肩をさすりながら言う。  「私はもういいや。だって、あの後、写真撮られたりサインねだられたり、めんどくさいこと多くて、しばらく仕事にならなかったし」  「バイク雑誌からの取材とか、もうことわってるしね。もったいないな」  絵里を見ながら言う早苗。  「私もことわってください。全然、やる気ないです」  強く主張する夏美。
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