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フラフラと歩き出す気障男。途中、振り返る。
「あんた達、本当に刑事? なんか、らしくないね」
「そうですか?」「そうかな?」と顔を見合わせる鷹西と夏美。
「でも、いいコンビみたいだね。仲良さそうだし」
え? 息を呑み、慌ててそっぽを向き合う2人。
「あんたやっぱ酔っ払ってるよ。気をつけてな」
鷹西が肩を竦める。
「仲良くないし。コンビでもないし……」
ブツブツ言う夏美。
「まったく、心外だな」
わざとらしく言って横目で夏美を睨む鷹西。
「私のセリフです」と夏美が睨み返す。
「おまえさぁ」キリがないのを承知の上で、言い返したくなる。どうも夏美が相手だと抑えられなかった。「さっき、気障男のおっさんが『こんな可愛い刑事なんて』って言ったとき、口の端っこだけピクッと動いただろ?」
「え? な、何ですか?」
慌てて口元を抑える夏美。
「言われて嬉しくて、笑っちゃいそうなのを必死に堪えてたんだろう? みえみえだよ。気をつけろよ、刑事がデレッとした顔見せないように」
「そ、そんな……。私、そんな顔してません」
夏美がキッと目つきを鋭くする。
「おお、怖い怖い」わざとらしく体を仰け反らせる鷹西。そしてニヤッと笑い「そう。そういう厳しい顔をしないとな。やればできるじゃないか」
「意地悪っ!」夏美がプイッと背中を向けた。徳田達の方へ歩いて行く。途中で「だいっ嫌い」
やれやれ、と溜息をつきながら、鷹西は後を追った。
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