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「何か、妙だなぁ」と鷹西が呟いた。
夏美もそれは感じていた。事件の表面的なところばかりを見ているような気がする。
極東エージェンシーという企業についてもっと調べた方がいいのではないか、と思うのだ。
被害者達がなぜ拳銃を所持していたのか?
もっと掘り下げていいと思う。そのあたりが通り一遍の確認で終えられそうで、どうにも不全感が残った。
「確かに妙だ。俺もそう思う」と立木が鷹西に言った。「まあ、班長もたぶん何かを考えている。とりあえず、捜査本部の一員として動いてみようじゃないか」
促されて立ち上がる夏美と鷹西。
「勝手に動くなよ。とりあえず方針に従え。疑問が出たら、まず俺や班長に言え」
立木が言う。頷く2人。
「私は心配いりません」
夏美がそう言うと、鷹西が横目で睨んできた。
「私は、ってのは気に入らないな。俺は心配いるような言い方だ」
「ええっ?!」わざとらしく、意外そうな顔をする夏美。「そうじゃないような言い方ですね?」
「何だと?」
詰め寄ってこようとする鷹西を隣の立木が抑えた。
夏美は鷹西にあっかんべー、と舌を出し、足早にその場を離れる。
「まて、この、捜査一課の過激なじゃじゃ馬っ!」
鷹西の声に顔を顰める夏美。
「ホントに小学生だな、おまえ達。しかも低学年……」
立木の呆れたような声が虚しく聞こえてきた。
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