SCENE1 廃校舎③

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SCENE1 廃校舎③

 一気に3階まで階段を駆け上がると、鷹西は、すぐ横の教室に入り込んで身を隠す。  引き戸を少しだけ開けて様子を見た。目の前を複数の男達が駆け抜けていく。7人だ。そのうち、銃を手にしているのは一人だけ。  ふむ、これなら暴れやすいな……。  男達は、しばらく先まで走って行ったが、鷹西の姿が見えないためか、いったん立ち止まる。  散り始めた。分かれて手近な教室から様子を探るようにしている。  鷹西は、その中でも、銃を持った男の行動に注目する。  他の連中がばらけていくのを見守るかのように、ゆっくりと廊下の中央を歩いていた。  飛び道具があるからって、余裕かましてるな……。  目つきを鋭くすると、鷹西は両手に椅子を持ち勢いよく教室を飛び出す。  銃の男が目を見開くのがわかった。慌てて銃を向けてくる。  遅いッ!  右手の机を男に向かって放り投げる。更に、左手にあった椅子を蹴ってフロアを滑らせていく。     慌てて銃を撃つ男。だが、この状況で狙いを定められるわけもなく、鷹西は避ける必要さえなかった。  飛んできた机は避けた男だが、フロアを滑ってきた椅子が足をかすめてよろける。  鷹西は柔道で言う前方回転受け身を繰り返し、あっという間に男の目の前まで来た。  銃を持つ手を蹴り上げる。  ガシャーン!  放物線を描き、銃は廊下側の窓を割って落下していく。  ヤバッ、奪って使うつもりだったのに……。  舌打ちする鷹西。今更しかたない。気を取り直し、とりあえず目の前の男の顎を肘で打ちつける。  一瞬で男は腰砕けとなり、グシャリと倒れた。すでに意識はない。
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