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あとがき
最後までお読みくださりありがとうございます。
本編でネタ説明をしなかったのでここで少しだけ補足をします。
今回テーマにしたのは「犬」ですが、ただの犬ではなく「犬神」が恐怖対象になっています。
妖怪系の漫画や小説ではたびたび登場するので知っている人も多いかも知れませんが、一応説明しておきます。
犬神とは、古代呪術の一種とされます。
諸説ありますが地面に穴を掘り首まで埋めた犬にギリギリ届かない距離で食べ物を置きます。
犬は首を伸ばして必死に食べ物にありつこうとしますが、それは絶対にできません。やがて飢えに飢えた犬は人に対して凄まじい恨みを持ちます。やせ衰えた犬がもう少しで食べ物に届く、その首が伸びきった所を術者が刀で切り落とす。すると、犬の首は恨みの対象へと飛んでいく。
というものです。
また、術者の家に富と栄光をもたらす一方で犬神の使役者の家は徐々に没落していくとされます。これは犬神が術者に恩恵をもたらすと同時に術者を食い尽くすものだからです。
犬神の伝説は四国地方に多く伝わり、今でも一部地域では信じられているそうです。
もしも説明が間違っていたらすみません。
本編内で「俺」が空き地で見つけた3匹の犬は野犬駆除に乗じて、誰かが犬神の儀式を行なっていた結果なのかも知れません。
犬神の話は、動物に呪いや財産など人間の欲を押しつけるのは、全く間違ったことだという教訓なんです。
年間数十万頭と殺処分される現代の犬たちは、誰かの欲望を満たす存在ではないんだと、再認識しなければいけません。
でなければ、儀式せずとも彼らは犬神となって、私たちに積年の思いを晴らすことになるでしょう。
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