七.

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七.

真っ先に頷いたのは、奥で聞いていたタカト・グライアンツであった。 計画の妥当性を素早く吟味し、一つ頷いてから「某はこれでいいと思います」と言った。 「今は一秒を争う緊急時ですし、他に有効な手段も思いつきませんからね。オディーナ殿の案に乗りましょう」 主体である彼の賛同を得たことは、実質決定に近い。 他の四人も思うところはあれど、異存はないようだった。 そこでオディーナは詳しい計画の指示をするため、これからの行動を紙へと記し、その担当者を決めることにした。 まず、残りの七人の見張りを捕らえて、大叔父の居場所を白状させること。 次に、この場にいない同志四人を招集すること。 そして、密告状を投げて敵の動向を探ること、などである。 最初の見張りの件は全員で即座にかかり、その後手分けして残りの件を片付けると決定した。 すると、話し合いが終わった直後に、こちらへと駆け込んでくる足音が聞こえる。 続いて女の悲鳴が響いた。声の主は、あの付き人のマチであるとすぐに気づいたタカト、またも疾風のごとく駈け出し、これにダンとカインが続いた。 三人が表に出ると、マチともう一人を追う影が三人、明かりを掲げて追いつめているのが見えた。既に夜明けが近いのか、空はぼやけたような灰白色で、雨でも降ったのか地面はぬかるんでいた。 「ちょうど三対三か、好都合」まずダンが飛び出し、わずか数歩で間合いを詰めると、先頭を進んでいた追手に躍りかかる。残る二人もあっという間にタカト、カインの両名に組み伏せられた。 「見張りの人たちですか」後から来たオディーナが言う。「斬ってはいない、ようですね」 「あたぼうよ、やろうと思えば出来んだよ」面倒だけどな、とカインが愚痴を零した。 「さて、声を上げてはいかんぞ」ダンは喉笛に剣を当てて、相手に言った。 「黙って付いて来れば命は取らない。分かるな?」 その間にタカトが追手どもの剣を奪い、他の見張りに気づかれないよう明かりを消したところで、オディーナが声をかける。 「逃げてきたマチさんに聞いたのですが、どうもこの三人、中を徘徊している方だったそうです。この際、北と南にいる四人もすぐにやっちゃいません?」 「然り。ではアレク殿とポポ殿に北を、カイン殿とダン殿に南をお頼みします」 捕まえた三人を縛り上げて動けなくした後、指示を受けた四人は即座に散って行った。
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